歯科訪問診療(往診)
寝たきりの方にも噛める喜びを与えたい
拝啓、時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
近年、急速的な高齢化社会を迎えて、国民の老後の健康確保が叫ばれています。
私事を言うと、大学生の頃、祖母が寝たきりになり、病院にお見舞いに行く度に、祖母や周りの高齢者の方が入れ歯で大変困っていたのを覚えています。
「ご老人達に役に立てたい」同じ思いを持った内科の先生達や、リハビリセンターの先生達と在宅支援研究会を発足し、何度も集まっていただいて、お話を聞いたり、実際に体験したりして参りました。平成8年から私どもは老人患者向けのいわゆる歯科往診専門体制を本格的に設立しました。設立した日から老人施設や老人病院、訪問看護ステーション、保健所、個人宅から治療の依頼や、看護婦さん達への□腔管理指導の講習会などの依頼が増えてきました。
平成12年年末の統計によると、延べ5000人以上のご老人患者の治療を行って参りました。
その結果、ご老人の生の声を聞く事ができ、数多くの方が入れ歯で困っていることが判りました。
中には、食事をする時に噛む度に歯茎が痛む方がいて、また歯の原因で日々痩せていって、体が弱くなったご老人もいます。厄介なのは入れ歯を捨てて人生を諦めているご老人もいました。
ほとんどのご老人がお口の状態が大変悪くても、そのままにしている方が多くいるのが現状です。
うまく噛めないから、きざみ食になったり、流動食になったりして、ただ飲み込むようになります。
脳神経に刺激を与えないと、ますます痴呆が進んできます。
汚れがつきっぱなしでは嚥下性の肺炎になり、悪循環です。
施設では、看護婦さんやヘルパーさんの数が限られているので、お□の中までの管理が難しいと言われています。個人宅の場合もご家族方が日頃、介護などの負担を軽減するため、専門者に任せた方がいいという話もよく伺いました。
まだ、ご利用になられていない施設や、ご家族の方、安心して気軽にお電話下さい。
なぜ 義歯治療後に口腔ケアの依頼が来るのか?
こんにちは。日本訪問歯科協会の米野です。
ある歯科医院に2人の歯科衛生士がいました。2人は年齢も近く、勤務態度も真面目で、技術力も高く、院長も信頼を寄せている衛生士でした。
そんな似通った2人でしたが、特に大きな
遠いが一つだけあったのです。
一人は訪問による義歯治療が終わった後、患者さんや介護者から、必ずと言って良いほど訪問口腔ケアを依頼されました。
ですが、もう一人は、訪問口腔ケアの依頼がほとんどなかったのです。
どこが、違っていたのでしょうか?
実は、訪問口腔ケアを依頼される歯科衛生士は、義歯治療の最中から、義歯の取扱いや管理方法を何度も具体的に説明し、また、口腔ケアの必要性を伝えていました。
一方の歯科衛生士は、義歯治療が終わった後、たった1回だけ。義歯の取扱いと管理方法や口腔ケアの必要性を説明していただけだったのです。
つまり、義歯治療に引き続き、口腔ケアを依頼されるかどうかの違いは、何度も具体的に説明したかどうかだけの違いでした。
何度も説明することは基本中の基本だと思われるかもしれませんが、実は、意識していないとできません。
義歯の取扱いや管理方法や口腔ケアの必要性などは、一度説明すればわかってもらえていると無意識に思ってしまいます。
「また説明した方が良いかな?」と思っても、同じことを何度も言うと、煙たがられるのではないかと尻込みすることもあります。
毎回、型通りの説明しかしておらず、実は、患者さんや介護者に理解してもらえていないこともあるかもしれません。
人の記憶に関しては正確なものはありませんが、「エビングハウスの忘却曲線」をもとに、1時間後には56%、1日後には74%、
6日後には77%忘れると言われています。
もちろん、この数字は人によって遠いますし、患者さんやご家族が高齢者だったら、もっと時間がかかるかもしれません。
患者さんや介護者は、たった一度の説明で指示通りできるようにはなりません。
ですから、ちゃんと説明したはずなのに、こんなトラブルに発展しかねません。
・義歯をポケットにしまい込んで無くした
・義歯をティッシュに包んでいたらゴミと間違えて捨てた
・愛犬に義歯をかじられた
・清掃時に力を入れ過ぎて義歯が割れた
・家族がペンチでクラスプを曲げた
ですから、根気強く、何度も繰り返し、様々な切り口で説明することが重要です。
また、義歯治療の最中や義歯修理後などの口腔ケアの際、義歯の汚れが原因で口腔粘限疾患に罹患する恐れがあることや、表に接触している残存歯や残根部の汚れに注意する必要があることなどの説明も重要です。
そうすることで、継続的な口腔ケアの重要性を理解してもらえ、義歯治療後の訪問口腔
ケアに繋げることができます。
義歯の取扱いや管理方法の説明に当たっては、介護現場の指導に精通している歯科衛生
土の説明方法を知っていると役立ちます。
日本訪問歯科協会事務局 米野敏博
http://www.houmonshika.org
FAX: 0120-199-505
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