歯列矯正についてちゃんと知りたい！
美しい歯並びにするのに有効なのが、歯列矯正。その基礎知識を、橋場先生に教えてもらいました。
矯正しないとどうなるの？
「歯並びやかみ合わせの悪さを放っておくと、虫歯や肩こり、顛のゆがみなどの弊害が出てきます」と、橋場先生。
歯並びが悪いと歯ブラシが届かないところが出てきて、そこに食べ物のかすがたまり、虫歯や歯周病に。納得！ でも歯並びの悪さが顔のゆがみにつながるなんて……。意外な気がするけれど？
「たとえば、右側の歯がよくかめない状態だとすると、ものをかむのに左側の歯ばかりを使うことになるでしょう？ つまり、左側の咬筋（こうきん）が発達する＝左のほおがぷっくりと出た、左右非対称の顔になってしまうんです」
けれど矯正してかみ合わせがよくなれば……。筋肉の肥大が解消され、あごからほおにかけてのラインがシャープに！
「かみ合わせが悪く、ものをかむ時によけいな力を使った結果で起こっていた肩こりも、矯正によって解消できます」
どこの歯科医でもいい？
「歯科医なら誰でも矯正の知識や技術があるとは限りません。2～3軒は回って、信頼できるところを選んで」（橋場先生）
選ぶ時のポイントは、「○○矯正歯科」という“専門医の看板”を掲げているか、臨床経験5年以上などの条件をクリアした医師だけが認められる「日本矯正歯科学会認定医」かどうかなど。
「その、うえで、カウンセリングを。かかる費用や期間、方法など、矯正についての説明をしてもらい、その先生が矯正した患者さんの歯の写真を見せてもらいましょう。詳しい説明をせずに、おいしいことばかり言う医師は、用心したほうがいいですよ。それから、装置をつけて歯を動かす動的治療期間は通常1～3年なのに、異常に長くかかるというクリニックや、費用が安すぎたり高すぎるところも要注意です。特に、安い場合、粗悪な材料を使っている危険性もあります」
カウンセリングにあまり費用はかからない。でも、治療にはお金も時間もかかるので、必ず2ヵ所以上訪ねて決定を。
「最近は美容外科で歯並びをなおす人も多いようですが、むやみに歯を抜いてしまうなど、トラブルも少なくありません。やはり、専門医が安心」（橋場先生）
どんなやり方があるの？
歯の表面に透明な装置やセラミック系の装置をつける「表側矯正」が一般的だけど、最近は「見えない矯正」が人気。
「『舌側（裏側）矯正』といって、歯の裏側に装置をつける方法です。これなら、大きな口を開けない限り、矯正しているとは気づかれません。装置をカラフルなものにし、“おしゃれ”を楽しむ方もいらっしやいますよ」（橋場先生）
どちらの場合も、まずはカウンセリングを受け、その後、かみ合わせや骨格の状態をレントゲンなどで検査。その結果をもとに、その人に合った装置を製作し、装着するという流れ。装着後も、1ヵ月に一度は通院し、歯が順調に動いているかなどをチェックしてもらう。
期間＆お金はどれくらい？
動的治療期間は、歯の状態にもよるが、表側・舌側矯正ともに1～3年が平均。
「さらにきれいな歯並びを保つために保定装置を動的治療期間と同期間つけて終了となります。その後も月1～2回は使用してください。そうすると、老化現象で歯ぐきが弱ったことで起こる歯並びの崩れを、防げます」（構場先生）
平均的費用は表側矯正が上下で80万～100万円（カラーゴムでも同じ）、舌側矯正120万～150万円（いずれも東京の歯科医の場合）。
「矯正は基本的には保険がきかないので、コンパクトカー1台分くらいの値段に。けれど、一生健康な歯が手に入るなら、高い買物ではないと思います……。利子なしの分割払いを利用できるところもあるので、詳しくはクリニックに相談を」
自称「歯並び」良し子の編集Nが橋場先生に相談！ 親不知、抜いた方がいい？
実はNには親不知があり、しかも途中で“はえ止まっている”中途半端な状態。痛くはないけど、やっぱり抜くべき！？
「親不知は即抜くべきという考え方は間違いです。親不知とはいえ、大切な自分の歯。健康な状態ならば、将来のことを考えて残しておくこともあります。なぜなら、移植するための歯として再活用することも可能なのですから。（橋場先生）
かみ合わせが悪いらしい！？
中学時代に、かみ合わせの悪さが原因で顎関節症になったN。もしや今でも……。
「顎関節症の症状は、口が開かない、開けると痛い、突然あごの関節が鳴るなど。思い当たる節はある？」（橋場先生）
うなずくN。早速、検査した結果は……。
「奥歯の並び方が曲がっていて、かみ合わせが悪いです。けれどかみ合わせを調整する『咬合調整』したり、マウスピースを装着することで改善できます」
早く治療します！ みんなも気をつけて。
モア 2003年9月号より
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