週刊朝日 2004年5月28日号


あなたもヨン様の白い歯に 最新審美歯科事情
安くないけど、きれいになります


歯列矯正といえば、アメリカの子どもの話と思っていたら、いつの間にか日本の子どもも大人の女性なども取り組むようになっていた。で、最近は並び方に加え、色だそうだ。たとえばあのヨン様のような歯も、今からだって手に入れられるという。ま、お金はかかるんですが。

ニッコリとほほ笑んだだけでファンの女性は「キャー」。とろけるような笑顔で日本女性のハートをわしづかみにしたペ・ヨンジユン様。最大の魅力は、なんといってもあの甘い笑顔だ。キレイに整った口元には輝くような白い歯が並ぶ。
「あの口元は、ほぼ完璧に近いEラインです。Eラインが整うと、顔はそれだけでかなり上品な印象になります」
と美容外科・ノエル銀座クリニック院長・保志名勝さん。
Eラインとは1954年にアメリカの歯科矯正医のロバート・リケッツ氏が提唱した「エステティック(E)ライン」のこと。さまざまなデータから鼻、口、あごの理想の位置バランスを数値で表したものだそうだ。鼻の先端とあごの下を結んでできるラインより口元が引っ込んでいる状態が美しいとされている。
そんなライン持ってないしー。とお嘆きの方々にも、ヨン様に近づく方法がある。それは、歯の色を変えること。
「なにより自信を持ってニッコリ笑うためには、清潔で白い歯がポイントですから」
西麻布デンタルクリニックの院長・大越聡一郎さんは、そう断言する。
「歯をキレイにするにも、今はいろんな方法があります。自分の歯をどこまで白くキレイにしたいのか。まず、その希望を聞いた上で、最善の方法でコーディネートするのが審美歯科です」
そこで問題浮上。料金のこと。謬察台で口を開けさせられたまま、
「思いきって前歯8本は自然なオールセラミックにしませんか?」
などとささやかれたら、軽自動車1台ほどのカネがとぶ世界なのだ。
では笑顔に自信なしの普通のオジさんが、ヨン様なみの輝くスマイルを手に入れるとしたら……。カネにも時間にも糸目をつけない「審美歯科お大尽コース」なら、スタートはまず平均2年かかる「成人矯正」。そこまで待てない、ひたすら外から見える歯のモデルチェンジがしたい、という人なら、自分の歯で型をとったクラウンをかぶせたり、つけ爪式に歯の表面にラミネートベニアを張りつけるという方法がある。
色や形のリクエストも可能。ちなみに最近の流行は「真っ白」より「ナチュラル系」。顔色や周りの歯とのバランスを調整するため、歯の色はコンピューターで計測する。
さらに黒ずんでしまつた歯ぐきはピーリングで健康的なピンク色に。抜歯で失った歯はインプラント(人工歯板)で再生させられる。
本数や素材にもよるが、ここまで徹底的にやった場合は、やはりドイツ車1台分くらいの費用がかかる。
「確かに安いものではないと思います。クラウンやラミネートベニアなど自分の歯に装着するものは完全なオーダーメード。日本は技工士の技術もハイレベルです。しかも内側に純金を使うなど素材もけっして安くはありません」
と大越さん。
安心材料なのか、背中を押しているのか、審美歯科の受付には、たいてい各種クレジットカードのプレートがずらりと並んでいる。やっぱり芸能人の方々が多いのですか?
「ベンツ1台くらいの金額を歯にかけてる芸能人がいるみたいな話は聞いたことがありますけど。私はそこまで必要ないと思います。見えない奥歯は保険の範囲内でしっかりかめる状態を保てばいい。そのためにも、保険医と連携しながらすすめます。予算についてもしっかり話し合える医者を選ぶことです」
西麻布にある大越さんのクリニックを訪れる患者は、7割が男性だ。運転手つきの車を待たせて通ってくる企業のエグゼクティブもいれば、就職活動中の学生もいる。最近多いのは海外赴任が決まって「1カ月でキレイな歯にして」とやってくるビジネスマンだという。
こうして作った白い歯は一生モノかというと、実はそうではない。


「口元で品性を主張する時代」

「一生モノ、と言う医者は信用しないほうがいいです」
と大越さん。加齢とともに口の中のコンディションも変化する。高価な材質が必ずしも長持ちするわけではないという。治療後も定期的にクリーニングを受けることが必要だ。
美しい歯にとびついた結果、トラブルを抱えてしまう人もいる。
「かめない、はずれる、割れてしまった、それに見た目が悪いから直してほしいと言ってくる患者さんもいます」
そう話すのは、東京都世田谷区にある波多野歯科クリニックの院長・波多野一さんだ。
「根治という歯根の治療をしないままかぶせたり、歯を削りすぎたりというケース。ブラッシングできないような装着がしてある場合もあります。しっかりと説明を受けずに、いっぺんにキレイにしようとすると、1~2年後には不具合が出ます」
こうしたトラブルを減らすため、波多野歯科クリニックではプラスチックの仮歯を2回作り、かみ合わせを徹底的にチェック。こうして作った歯には10年間の保証をつけている。
「自信があるから保証をつけているんです」
保険治療も含め100万~300万円近くかかっても満足する患者は多いという。
歯に美しさを求めることを、「『クオリティー・オプ・ライフ』のひとつではないですか」
と言うのは、日本歯科審美学会の創設メンバーである寺川國秀医師。学会が発足したのは16年前だが、この5年ほどの間に、所属する歯科医や技工士は急速に増えているという。
日本で歯の漂白剤使用の認可が下りたのが5年前で、業界ではその年を「漂白元年」と言っているそうだ。たばこのヤニなど長年の間にしみついてしまった汚れなら、1回数千円のクリーニングコースでもかなりキレイになるし、歯並びを整えたり白くするために審美歯科にかかることはもう特別なことではないと、メンバーらは口々に言う。
「食べるだけの口から、品性を主張するための口元になったと思います。学会創設のころは『歯は飾りじゃない』と言う医者も多かったが、そう言っていた人たちが今、審美に夢中になっていますからね」
と寺川さん。世界の審美歯科のスタートはやはりハリウッドだが、日本でも芸能人などを経て、一般人でも通う場所になったという。
ということで、ヨン様をめざす皆様、料金表もつけたので、参考にしていただけたら、と。


大島真奈美


当院の料金表はこちら




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