Perio 歯周病と全身のかかわり

「歯周病は全身疾患の危険因子」

人類は今までに 致死性の高い様々な伝染病を克服してきました。それによって人類の寿命は急激に伸びましたが、代わりに生活習慣病という問題が徐々に浮き彫りになってきています。

この生活習慣病としてがん、心臓病、脳卒中、糖尿病が今まで代表的なものでしたが新たに歯周病の名前が挙がってきています。

*生活習慣病とは、生活習慣の危険因子(リスクファクター)が多発して起きる状態の事で別名、危険因子重積症候群(マルチプルリスク)と呼ばれています。
生活習慣で言えば喫煙、運動不足
病気で言えば 肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などが危険因子の典型です。


生活習慣 危険状態 疾患 結果
たばこ
アルコール
食事
運動
肥満
高血圧
糖尿病
歯周病
がん
脳卒中
心疾患
自殺
早世
障害

ここ10年ほどの研究で 歯周病は細菌感染によって発病し、それが全身にも影響を及ぼしている事が分かっています。 現在では
・糖尿病
・心臓血管病
・低体重児出産・早産
・呼吸器疾患
・骨粗しょう症
などが歯周病と密接な関係があるとされていて、注目されています。


「糖尿病」

糖尿病には 1型糖尿病と2型糖尿病があります。

歯周病と糖尿病はお互いに悪い影響を与え合って、各種合併症を引き起こしています。

糖尿病で産生される炎症性サイトカインなど沢山の種類の因子は歯肉に影響して歯周病を悪化させます。
また、歯周病は 歯肉の中にいる細菌(嫌気性菌)が生み出す毒素(LPS)が 歯肉から血液の中に入り込み増殖すると結果的にインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)を導き糖尿病を悪化させているのです。

*1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病、IDMM)
小児や若い人に多く、ウイルスの感染などによりインスリンを作り分泌する膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が破壊され、インスリンを全く分泌することができなくなり糖尿病になる病気です。

*2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病、NIDDM)
日本人の糖尿病のほとんど(約95%)を占めると言われています。インスリンの分泌量が低下しやすく糖尿病になりやすい体質を持っている人(インスリン分泌不全)に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、ストレス、加齢などのインスリンの作用を妨害するような引き金(インスリン抵抗性)が加わって発症します。


「心臓血管疾患」

歯周病の人はそうでない人に比べて、心筋梗塞などの心臓血管疾患にかかる確率が高い。
最近、このような驚くべき研究結果が米国で報告され、大きな話題となっている。

心臓血管疾患で最近、重視されているのは脳梗塞、心臓冠動脈疾患、心臓発作、末梢動脈疾患などの原因となる粥腫血栓症(アテローム血栓症)です。
この粥腫血栓症(アテローム血栓症)は酸素や栄養を運ぶ太い動脈の中で血栓を作って症状を引き起こします。欧米に多く,日本には少ないと言われていましたが、生活習慣や食生活の変化とともに日本でも増加傾向にあります。

この血栓を作る危険因子は機械的ストレス、喫煙、高コレステロール血症そして歯周病のような直接的・間接的な細菌感染です。歯周病の炎症を起こす細菌の毒素は歯肉から血液に入ってしまう事でこの血栓を作りやすくします。

重度の歯周病患者とそうでない人を比べると冠動脈疾患を引き起こす可能性が2倍程高いと言われています。


「呼吸器疾患」

肺に異物が入ったりすると普通は嚥下、咳、呼吸など生理的な反応によって除去したり 保護する機能を我々は持っている。しかし神経的な障害がある人や高齢者の場合、歯周病の菌を飲み込んでしまい肺炎を誘発する事がある。

今までに脳卒中の既往がある人は 肺炎で死亡する確率が高い。
肺炎で亡くなった老人を調べた所、過去に脳卒中を経験した患者は脳から咽頭器官に放出される化学物質が少ない事がわかった。
これは嚥下反射と咳反射の低下を意味している 肺に菌が入りやすくなって、肺炎が起きやすい状態になっていることを意味している。

肺炎患者からは沢山の口腔細菌が発見されますが、そのうちの一部歯周病菌(P.gingivalisなど)は毒素を産生して キラーB細胞(体の中のガン細胞やウィルスを殺す免疫細胞)を低下させることが分かっています。これらの歯周病菌が肺に到達した場合、何らかの免疫的な低下を引き起こしている可能性は大きいと考えられています。


「低体重児出産・早産」

低体重児(37週以前に出生する新生児)及び早産の発症率は過去20年来減少していないそうです。
今まで産科領域では尿路あるいは生殖器官の細菌感染が取り上げられてきましたが、最近は歯周病のような普段は症状のない細菌感染が注目されてきています。
その理由は以下の通り

1.出産の際に 絨毛羊膜炎が多い
*(赤ちゃんを包む卵膜が細菌感染により炎症を起こしている。ここまで進行すると、卵膜が破れ前期破水や陣痛が発生する)

2.出産後に細菌感染することが多い

3.早産では生殖器官の感染あるいは羊膜(赤ちゃんを包む膜)の早期破損がみられる

4.早産患者の羊膜水・羊膜は細菌に汚染されている

5.検出した細菌による動物実験では早産を誘発した

6.抗生物質を投与すると早産の発症率を下げる事が出来る

いまだ仮説でしかないが、歯周病などの症状の無い細菌感染は細菌本体や毒素が血流を介して子宮腔へ入ると考えられている。





Yahoo ジオシティーズより


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