歯の詰め物にも注意 金属アレルギー

皮膚疾患出ることも 合金そのものは安全

皮膚にかぶれなどの症状が出て皮膚科に行ったのに、原因がわからない。調べてみたら、歯科治療で使った金属のアレルギーだった──。こんなケースで歯科医を訪ねる人が増えている。なぜこのような現象が起きるのか。どうすれば治るのか。治療の方法を聞いた。

(田島 真一)


名古屋市中川区の「おしむら歯科」には、皮膚科からの紹介や、インターネットのホームページで歯科で使う金属と皮膚疾患の関係を知った患者が多数、来院してくる。
かぶれに悩む患者に聞くと、歯科で金属を詰めた後に発症したといい、さまざまな金属を皮膚に当てるパッチテストをすると、亜鉛などに陽性反応が出た。歯に詰めていた金属を外し、プラスチック製の詰め物に入れ替えると、皮膚炎は治まった。
押村院長は「歯科医や皮膚科医でも、意外と、金属が原因と気付かないことが多いのが現状。紹介を受けてくる患者の中には『なんで皮膚のことで、歯科医にかかるの?』といぶかしげな顔をする人もいる」と苦笑する。
愛知学院大歯学部付属病院は、二〇〇一年一月に「口腔金属アレルギー外来」を設けた。これまでに約三百人が来院している。同科の池戸泉美医師は「最近はピアスの流行で金属アレルギーになる人が増えている」と指摘する。
また、同科長の服部正巳助教授は「歯科治療で使われる金属の多くは合金で、いずれも安全性に問題はない。だが、食事や歯磨き、だ液などで金属がイオン化しやすく、これが抗原になり、金属アレルギーの人は症状が出てしまうことがある」と解説する。
使われる合金は種類によりパラジウムや金、銀、クロム、ニッケル、亜鉛、プラチナなど、さまざまなものが含まれる。患者がどの金属に反応するのかパッチテストなどで特定し、それが口の中の合金の成分と一致して、さらにその金属の溶出傾向があった場合には、患者と相談して歯から外す。
服部助教授は「現れる症状は、手や足にブツブツができる掌蹠膿疱症や接触皮膚炎、手足の水疱などで、口内炎といった口の中より、外に出るほうがはるかに多い」と説明する。「患者の中には複数の金属元素に反応する人もいる。代わりの材料に純チタンや、まったく金属を使わないオールセラミックや硬質プラスチックを使うこともある」。ただ、これらは現在の制度では保険が適用されない場合がある。「問題なのはどの金属に反応するかなので、その金属を含まず、保険の適用対象の合金を使うことも可能」という。「指輪やネックレス、腕時計などでかぶれが出たことのある人は、治療前の問診で知らせてほしい」と呼び掛ける。
金属アレルギーのほか、歯槽膿漏など口の中の化のうが原因で、皮膚疾患が起きることもある。
口の中の治療の後、掌蹠膿疱症が好転した五十代の女性は「出血と痛みで歩けなくなることもあった。皮膚科、総合病院でも原因が分からなかったのに、歯科で良くなるとは思わなかった」と驚く。
押村院長は「原因が分からずに悩んでいる患者さんのためにも歯科、皮膚科といった診療科の枠を超えた連携が必要です」と話す。





東京新聞 2003年5月16日 朝刊 13面より


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