歯科矯正を調べてみました

歯並びやかみ合わせが悪いと、虫歯や歯周病になりやすく、頭痛や肩こりの原因になることもあるそうです。最近は、目立たず、歯を抜かずに治すよう矯正法が改良され、利用する大人が増えています。

(石田勲)

大人でも増える利用者

「歯並びがガチガチで人前で笑うのが恥ずかしく、劣等感がありました。今では、営業は積極的になり、デートも笑顔で楽しんでいます。」
東京の保険外交員A子さん(28)は昨年12月、八重歯と出っ歯の矯正を終えた。3年3ヶ月の期間と110万円の費用をかけた。
常に矯正器具をはめて、月に1度の受診。「かなり面倒でしたが、今は決断して良かったと満足しています」と晴れ晴れとした様子だ。
日本臨床矯正歯科医会神奈川支部の調査によると、歯の矯正者に占める成人の割合は89年の15%から徐々に増え、94年には23%に。最近は30%前後、40~60代で矯正する人もいるという。
見栄えだけでなく、歯並びの悪さによる弊害が広く知られるようになったことも増加の背景にあるようだ。

歯並びやかみ合わせが悪いと、十分な歯磨きができず、虫歯や歯周病になりやすいほか、あごの付け根の関節が痛くなる「がく関節症」や頭痛、肩こりの原因になることもある。治療が必要なのは、出っ歯、受け口、八重歯など歯が凹凸に生える乱食い歯、すきっ歯などだ。
患者の7割近くが成人という日本矯正歯科研究所付属デンタルクリニック(東京都渋谷区)の佐藤元彦院長は「成人は子どもに比べて歯の動きが遅く、治療期間は長くなります」と話す。
矯正には、2~3年かかる。常時、歯に力を加える治療なので、じんわりとした痛みを感じる人もいる。出っ歯なら、ヘッドギアをつけるなどして歯を奥に押す。八重歯なら、ワイヤやゴム材で引っ張り、周囲の歯と一緒に正しい位置に移動させる。

矯正を始める前に、犬歯から1本奥歯側にある上下左右の小臼歯4本を抜くことが多い。前歯が正しい位置に移動できる空間をつくるためだ。
歯並びがそろった後も、1~3年、マウスピースのような器具を夜間につけるなどして、後戻りを防ぐ。
一部を除いて医療保険が使えず、治療費は一般的に60~120万円かかる。
最近は、治療技術の進歩や形状記憶型ワイヤなど器具の改良により、痛みが少なくなり、治る範囲も広がった。
おおの矯正くりにっく(横浜市港北区)の大野粛英院長は「顔のゆがみや受け口で重症な大人だと、口腔外科と連携して、あごの骨を一部切るなど外科的手法を併用しています。医療保険が使える例もあり、入院期間は2~3週間と短くなっています」という。
矯正器具を目立たせない工夫も浸透してきた。透明なものやピンク、黄色、青、緑などカラフルなものを選べるうえ、歯の裏側にワイヤを通して外から見えなくすることもできる。
しかし、裏側の矯正では異物感があるほか、料金も割高。期間も長くなりがちだ。

東京歯科大(千葉市)の山口秀晴教授のチームは永久歯を抜かずに矯正する治療に取り組んでいる。
奥歯の後ろなどに打ったインプラント(人工歯根)を支柱にして、奥歯を奥にワイヤで引っ張ってずらしたり、あごを緩やかに広げたりする手法を使う。この結果、同大学の病院では、7割以上の人が抜歯なしの治療を受ける。
最近は、虫歯でもできるだけ、抜かずに治療したいという患者が増えている。歯科矯正でも、歯を温存する要望は強くなっているようだ。
ただ、日本人はあごの奥行きが矯正の本場の米国人に比べて浅い。さらに、あごの大きさに比べて、1本1本の歯が大きいので、抜歯したほうが治療がうまく行く例が少なくないという。
山口さんは「抜かないことに固執せず、主治医とよく相談してください」と助言する。
矯正にかかる期間は短くならないものか。たまプラーザどう矯正歯科(横浜市青葉区)の堂信夫院長は「短期間で治そうとすると、強い力が歯に加わり、悪影響が出かねません」と話す。きちんと治すには、仕方ないようだ。
それでは、歯科医師選びは、どうすればいいのだろう。学会の認定医は一つの目安になる。未熟な歯科医師だと、治療後に後戻りしたり、口元が悪くなったりするという。見た目のきれいさだけを重視して、きちんとかめなくなることもある。
「器具が見えず、抜歯もせず、しかも、数カ月で治します」などと良いことだけPRするところは要注意。費用もかかるので、じっくり説明を聞いてから選びたい。


専門医を探すには

日本矯正歯科学会は、大学での5年以上の研修や論文、一定の臨床経験のある人2077人を認定医としてホームページwww.jos.gr.jpに掲載。日本臨床矯正歯科医会もwww.kyouseishika-ikai.gr.jpで矯正歯科の開業専門医のいる350クリニック名を公開している。同医会も5年以上の臨床経験がないと入会できない。同医会だと、患者が転居しても、転居先の会員を紹介し、治療を引き継いでくれる。


詳しく知るには

日本臨床矯正歯科医会神奈川支部がまとめた「専門のお医者さんが語るQ&A 歯科矯正」(保健同人社、本体1350円)は具体的な治療法、疑問点などを分かりやすく解説している。末尾には同医会員の一覧を収録。



朝日新聞 2003年05月05日 朝刊 27面より




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